医者が負け組になる時代


労働環境的には昔から医師は負け組かもしれませんがw
・・・今回の記事はもっと深刻な話です。

今のところ医師といえば

・社会的貢献度が高い
・比較的高給
・ステータスがある
・安定している

などと、耳触りのいいイメージが並びます。

ただ私自身は、それが今後もずっと続くのかときどき心配になります

今後医師は、あるいは自分はじりじりと衰退するのではないかと、一抹の不安を覚えるのです。

■医師の数が増える


(厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師の概況 より)

医学部医学科の定員は増加を続けています。
つまり新たに医師になる人数は増え続けています。
かつての医学科定員は今よりはるかに少ないですから、医師を辞める人間よりも、医師になる人間のほうが多くなり、当然医師の総数は増加します。
歯科医師や弁護士の数を増やした結果、彼らの待遇がどうなったかは、御周知の通りです。

■女性の社会進出がさらに進む


「日本の社会・文化的成熟度は欧米先進国の20年遅れ」だと私は考えています。
であるならばいよいよ今後、女性が働きやすくなる世の中に日本は変わっていきます。
いつになるかは分かりませんが、北欧諸国のように性別など関係なくなる日が来るかもしれません。
これまでの日本では眠っていた、女性医師の労働力が本格的に呼び起こされるわけです。

「女性は男性ほど働けないし、医学部の女性比率が高まってきているじゃないか」という主張もありますが、女性が働きやすくなるのであれば男性・女性の間での労働パフォーマンスの差は今後小さくなっていきます。

■働ける高齢医師が増える

健康寿命の伸びにしたがって、元気に働ける高齢医師も増えるでしょう。
昔の70歳と、今あるいは未来の70歳は、まったくの別者です。
医療の進歩はもちろんのこと、労働環境が改善すればバーンアウトも減り、人々はより長く・より健康に働くことができるようになります

■患者が減る


(総務省HPより)
日本の人口自体はすでに減少が始まりました

ますます高齢化が進んでしばらくは高齢者人口が保たれるものの、まもなく高齢者すら絶対数で減少に転じます
表現が悪いですが、高齢者は私たち医師にとっての、いわば「主要顧客」です。
つまり医師の需要は今後、先細りしていくことが確定しています。

■AIが医師の仕事を奪う

AIは着実に進化を続けています。
もう人間は、AIに将棋や碁では勝てません。
医療の世界でも同じです。
少しずつ、しかし確実に、AIは私たち医師の仕事を代替できるようになりつつあります

AIが皮膚科医を超えた? 医師もAIに職を奪われるかも


わざわざ高コストの医師を雇わなくても、機械が休みなく文句なくずっと働き続けてくれるなら、そっちのほうがいいに決まっています。

■行き過ぎた資本主義が、個人を食い物にする時代


資本主義が発展し、今世界は資本力がものを言う時代になってきています。

中国は巨大なマネー・軍事力を駆使して、アジア・アフリカの途上国をどんどん呑み込んでいます。
係争地だったはずの南沙諸島で、中国が着実に海上施設を建設しているのに周辺諸国がおとなしいのはなぜでしょうか。

もっと身近な例もあります。
「街の本屋さん」は全国チェーンの大型書店により大きなダメージを受け、さらにグローバル企業アマゾンによりいまや壊滅寸前です。
イオンモールなどの巨大な複合施設が次々にできたことで、地元の商店街は「シャッター商店街」と揶揄されるようになりました。
莫大な資本を投入することで、中小・個人を規模の力で圧倒しているのです。

医療の世界でも、巨大なグループが力をつけ、規模の力で零細クリニックを駆逐しつつあります。

GoogleやAmazonなどはすでに一国の予算を越えるような規模になっており、医療界の覇権も虎視眈々と狙っています
Amazonで「医師の往診」を注文できる時代もそう遠くないかもしれません。(実際にそのような構想はすでにAmazon社内にあります)

個人の力がますます弱くなり「雇用者」と「被雇用者」の格差がさらに広がります。
「支配者」と「被支配者」という表現の方が正しいかもしれません。
個人が搾取される将来において、今よりも恵まれた・あるいは同等な待遇を得るのは難しいでしょう。

■需要・供給バランスが崩れていく

医師の総数が増える・女性医師や高齢医師など眠っていた労働力が目を覚ます
患者数が減少する
AIに仕事を代替される
個人の立場が弱くなる

これらはすべて、今後の医師という仕事のニーズ・価値を毀損します。
需要と供給のバランスが、大きく崩れるのです。
将来私たち医師は、昔や今ほど必要ではなくなるのかもしれません。

■海外に活路を見出す?

ではいったいどうすればいいのでしょうか。

一般に、国内での需要が見込めない場合には企業は国外進出を図ります。
たとえばメガバンクは国内事業が頭打ちになり、東南アジアの銀行などへの出資を強めています。

しかし医師の場合は各国で「国家資格」として保護されており、そう簡単には外国人は進出できません
医療とは国家の本幹だからです。

このように制度上の問題が大きいうえ、日本人の場合は語学の障壁も小さくありません。
医療はコミュニケーションです。患者との信頼関係です。
現地語でまともな会話が成り立たなければ、患者は自分の体を委ねようとは思えません。

外国産のお酒は飲めても、外国人による医療を受けるのはなんとなくいや、という気持ちはみなさん理解できると思います。
言葉が通じなければ、なおさら不安になりますね。

■個人としてのリスク


世間や世界のトレンドから、医師の将来を悲観的に考察しました。
しかし、私たち医師にとってのリスクはそれだけではありません。

私たちは日々病気になった人を診察しています。
しかしいつ何時、自分がそちらの側になるか分からないのです。
病気に来るのはやはり高齢者が多いですが、若年でも重症な疾患にかかる人はいます。
病気のために医師として働けなくなる日が、明日やってくるかもしれません
今この歳まで健康でいられるのは、ある意味奇跡です。その奇跡が、いつまでも続くかは分かりません。

病気のほかにも、不慮の事故に巻き込まれる可能性は、いつだって誰にだってあります。
確率は低くても、ゼロになることはありません。
自分に何の落ち度もなくても、十二分に気をつけていても、防げないときは防げません。

若い方を診察していると、ときどきこういった不安について考えてしまうことがあります。

■医者が負け組になる時代


仮にこうした悲観的な未来がやってきた場合、医師という職業は金銭的には大変に割の悪い職業になります。
厳しい大学受験を勝ち抜き、6年もの間詰め込み教育を受け、そこからさらに10年でやっと1人前になれる職業でも、需要がなければひょっとすると、世間の平均よりも給料が少ないかもしれない。
にもかかわらず責任は変わらず重大で、労働環境も悪いまま?
「医者って、地位も名誉もお金も昔はよかったらしいぜ」と大学生に鼻で笑われる日が来るかもしれません。

そもそも病気や何らかの理由で医師として働くことができなければ、負け組も何もありません。
医師は、身体が動いてなんぼの、ブルーカラー労働者です。

■医師個人が対策できること

いつも不安に思っているわけではないのですが、ときどき悲観的な未来を考えてしまいます。
ポジティブな要因だっていくらでもひねり出せるわけですが、とにかく未来のことは誰にもわかりません。

しかしある程度の確度で想定可能なのであれば、取りうる限りの対策は取っておくべきでしょう。
医師として働けなくなってもいいように、あるいは医師という職業が社会でまともに評価されなくなってもいいように、私は経済的にある程度自立するため2つのことを考えています。

①今後待遇が悪くなるなら、今の待遇を今のうちに享受する

年配ドクターの昔話を聞いていると、昔の日本はよかったなとか、そんな時代もあったんだたなと思います。バブルおそるべしです。
しかしそれを個人が今更変えることはできません。

今後待遇が悪くなると予想するなら、今その待遇のうちに頑張ろうという論理です。
将来給料が少なくなるのなら、今のうちに稼ぐのが得策です。

若手医師は空き時間にとにかくバイトしまくるべき

②自分が働いてもお金にならないなら、お金に働いて稼いでもらう

医療という斜陽の業界にいるから、先行きが暗いのです。
であれば、先行きの明るい、成長余地の大きい世界に自分が行けばよいのです。
本業を大事にしながら、かつ世界の成長の恩恵を受けたければ投資という選択が最適です。

医師が投資をすべき理由

結局のところ・・・

医師不遇の時代になったとしても、私たちは生きていかなければいけません。
医師免許以外に何か才能があればいいですが、なかなかそんな人は居ません。

であれば、今の境遇をテコにして、可能な限り資産を育てておくというのが最善です。
①と②には相乗効果があり、①を頑張れば頑張るほど②のパワーが大きくなります。

過度な無駄遣いをせず、空き時間にアルバイトを増やし、貯めたお金でそそくさと株を買う
倹約も貯金も仕事も投資も好きでやっているので、ある意味私にとって趣味みたいなものですが、同時にこのルーチンは、医者が負け組になったとしても・自分が働けなくなっても、経済的により自由になるための準備・リスクヘッジでもあります。

資産形成の大原則


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