「研修医になったら必ず読んでください」


■医学生と医師のギャップは大きい

学生と社会人のギャップは大きいです。
誰しも、社会人になりたてのころはそのギャップに苦しみ、しんどくなるものです。

しかし私が思うに、医学生と医師のギャップはとくに大きいです。
あまりの差に心を病んでしまう人もいるくらいです。

医学生の間は文字通り学生ですから、勉強していればそれでいいんです。
試験にさえ通ればなんとかなります。

しかし医師免許をとった途端に「先生」となり「主治医」となり、責任が激増します
患者の命が、両肩にのしかかります。

ほとんどやったことのない採血もルート確保も当たり前のように頼まれます。
一般名で習った薬は、すべて商品名で呼ばれるためちんぷんかんぷんです。
輸液指示を出せといわれても、 どう組めばいいのか理解不能。
四六時中看護師からPHSが鳴り続け、知らない単語のオンパレード。
医療現場独特の言い回しなんて、医学部では習いません。

内科では症例プレゼンが分かりにくいと怒られ、外科では手術の助手に入れば段取りが分かっていないと怒られます。
救急当直明けでも休ませてもらえず、眠い目をこすりながらわけのわからない叱責に耐えた人が多いはず。

私も初めのころは本当につらかったです。
病棟管理が分かってきて、業務が楽しくなってきたのは2年目に入ってからでした。

■医学生と医師のギャップをいかに早く埋めるかが、研修生活の充実度を左右する


いかに早く医学生と医師のギャップを埋めるかが、研修医にとって重要です。

このギャップが埋まるまでは、研修は社会の厳しさやルールに慣れるものでしかないからです。

その段階をクリアして初めて、自分で医学的な考察や評価がスタートできるレベルになります。
医師としての次なる成長のために、はやく「医師」という仕事に適合しなければいけません。

看護師を含めたコメディカルとのコミュニケーションがきちんとでき、一通りの処置や初期対応ができるようになって初めて、自分の仕事や自分の担当患者を俯瞰的に眺める余裕が生まれます

医師はみなそういう苦労を経験するわけですが、どうせなら上手にギャップを埋めてステップアップしたい
早くステップアップできれば、それだけ医学的なことを研修で吸収できます

人それぞれに性格があり、適応能力も様々でしょう。
結果的に、私はまともに自分で業務できるようになるまで1年近くを要しました
コミュ障だったせいもあるでしょう。

2年間の研修から、ああしておけばもっとよかったな、というコツというか処世術のようなものが蓄積されてきました。

これを読んで、今研修医の人やこれから研修をする医学生は、私のような回り道をしなくて済めばいいなあと思います。

■病棟業務は朝が大事


朝は必ず、指導医より先に病院へ到着しましょう
というか、指導医が朝カルテを確認する時点で、その日のアセスメントが済んでいるのがベストです。

指導医が来てしまうと、指導医から指示が飛んできます。しかしそれに従うだけでは何も成長できません
自分の頭では何も考えていないからです。

自分が指導医の事務代行にならないように、指導医から指示される前に自分でどうすべきかを考える癖を付けましょう

私は救急外来での経験が一番役に立ったと思っています。
それはファーストタッチが研修医だからであり、何を問診するのか・何を検査オーダーするのか・どんな病気を考えているのか・結局この後どうするのか、全部自分で考えないといけなかったからです。

自分の頭で考えること、それが何より大事です。

■院内で人に会ったら、必ず挨拶をする


とにかく、ちゃんと挨拶をしましょう。
相手が返してくれなくても、めげずに挨拶をしましょう。
他科の知らない先生でも、挨拶をしましょう。

病院の雰囲気にもよりますが、ふつうそこまできちんと挨拶する人は多くありません
多くないからこそ、きちんと挨拶できる人は印象がいいのです。
挨拶をされて嫌な気分になる人はいません

挨拶を継続しているだけで、周りから「よく知らないけど、いつもきちんと挨拶をしてくれる感じのいい先生」という評価になります。
印象が良ければ、指導医も頑張って教えたくなります。
看護師も、いろいろ手伝ってあげたくなります。
患者さんからも、評判がよくなります。

マクドナルドのスマイルゼロ円ではないですが、ノーコストで院内の人間関係・風通しがよくなります
恥ずかしがらずに頑張りましょう。

私はなかなかのブサメンでにこっと笑うと自分でもまあまあ気持ち悪いんですが、それでもめげずに挨拶するようにしていました。
ある日、とある病棟の看護師長さんから「いつも感じがいいね、先生病棟でも評判いいよ!」と言われたときはうれしかったですね。

ラブレターや食事の誘いは一切ありませんでしたが!!!悲

■分かったふりをしない・分からないなら分からないと言う

分かったふりをすること、これが医療現場で一番危険です。
誤った医療行為は、患者に大きな不利益を及ぼす可能性があるからです。

人の命を預かっていること、それをきちんと理解しなければいけません。
自分の裁量ひとつで命を奪うこともあります
看護師が入院患者を次々に殺害したニュースもありましたね。
それだけの権限が、研修医にもあります。

周りだって、研修医がなんでも知っているなんて思っていません。
初めは誰だってよちよち歩きです。
上司からすると、なんでもできる・わかると言い張る研修医より、わかりませんとすぐ泣きついてくる研修医の方がよっぽど安心です。

■能動的に研修する


研修医は日々労働をしていますが、同時に研修もしています。
患者の管理の仕方、薬の使い方、画像読影の仕方、各種処置のコツ、、、医学は無限に広く無限に深いため、学ぶべきことはいくらでもあります
自分の志望科と直接関わらなさそう、と思って勉強しないのも愚かです。

いつ自分の気が変わるか分からないし、他科の知識が役に立つことはいくらでもあります。
ヒトの体は臓器ごとに独立したりしていません
併存症がある場合もあります。
どんな科にも、存在意義があり学ぶべきことがあります

眼科医だって顔面皮膚の病気を診ることはあるし、田舎の病院なら多少のインスリン管理はできたほうがいいです。
白内障手術で入院中に、患者が心不全にならないとも限りません。
最低限の身体診察や心電図読影など、患者状態が把握できなければコンサルのタイミングも分かりません
コンサルする内容もまとめられません

そして指導医にとって、意欲的な研修医はかわいいものです。
受け身でふてくされた研修医より、頑張り屋の研修医のほうが教育機会に恵まれるのは当たり前でしょう。

眼科にも研修医はときどきやってきます。
内科志望の人(眼科には進まないと公言済み)、皮膚科と迷っている人、眼科志望の人。
いろいろやってきますが、眼科に来ないとわかっていても、一生懸命頑張る人ならこちらも指導に力が入ります

同じ時間を研修するなら、よりたくさんのことを学んだほうが絶対に将来のためになります

■初期研修医向けの良書

さて、上記を含めた研修医の処世術・生き残り術を取り扱った本を紹介します。

タイトルがやけに煽り気味なので一瞬身構えるのですが・・・
著者が岸本暢将・岡田正人・徳田安春先生と、医学生・研修医・若手医師教育で非常に有名な先生ということで、研修医時代に買ってみた本です。

上で書いたような「研修医の心構え」のほか、EBMの使い方や診療上の注意点、病歴聴取や身体診察のコツ、研修医が遭遇する各種処置のポイント、症例プレゼンのやり方など、研修医にとって重要な項目がまとまっています

私は2年目に入ってから読んだのですが、もっと早く読んでおけばよかったなあと思いました。
いわゆる米国式医学教育がベースにある良書です。

「研修医になったら必ず出席してくださいセミナー」という、この本のセミナーバージョンにも研修医時代に行ったことを思い出しましたw

■より実践的な研修医向け教科書もあります

今回紹介した「研修医になったら必ず読んでください」は心構えが中心でしたが、より実践的な研修医向け参考書もまとめてあります。

初期研修医向け おすすめの教科書を3冊厳選!

初期研修医向け おすすめ本を厳選!


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