初期研修医向け おすすめの教科書を3冊厳選!


新年度、期待と不安を膨らませて入職する初期研修医の方もたくさんいるでしょう。
私自身が2年間の初期研修を通して、必携・必読だと思った本を厳選して紹介します。

大事なポイントは
◆「初期研修医にとって」大事なポイントが書かれている
指導医クラスが唸るような、詳しい知識は要りません。
研修医のレベルで必要な知識が書いてなければ、研修医にとっては良書とは言えません。

◆ヘビー過ぎない
研修医は大変です。医学生と医師の間にはすさまじいギャップがあり、入職後2~3か月くらいは精神的・肉体的に相当しんどいです。私も最初の2か月は仕事を辞めたくて仕方がなかったです。
社会の不条理を味わい、忙しく過ぎ去る日々の中で勉強時間を捻出しないといけませんから、辞書みたいな分厚い本は読めません
効率よく要点を押さえたものが理想です。成書を読み込むのはもう少し後でも大丈夫!

■最優先の1冊

①「内科レジデントの鉄則」医学書院
研修教育で昔から有名な聖路加国際病院の、若手医師達が執筆した本です。
研修医が陥りがちな罠、理解しにくいポイントが様々な分野に渡って網羅されています。
病棟急変の対応、日々の診察の注意点、輸液や栄養の決め方...etc

「初期研修医にとって」大事な要点がまとまっているのは、著者が数年前まで初期研修医だったからでしょう。
私が2年間の研修を通して、もっとも活用しもっとも役に立った、ベスト中のベスト本です。
病棟管理(初期研修医が一番初めに覚えなければいけないこと)を中心に、とにかくこの1冊は必携です。研修中に躓いた疑問は、たいていこの本の中に答えがありました。

■救急業務・救急当直

重症患者が集まる3次救急では必ず上級医が居て、彼らの指示のもと手となり足となるだけです。ある程度のパターンがあり、手技をそつなくこなすだけであまり頭は使いません。
初期研修医にとってのヤマは、1次・2次救急です。
なぜなら多くの病院では、ファーストタッチを研修医が行うからです。
よくある症状の中から危険な疾患を拾い出し、 適切に対応することが求められます。
自分で所見を取り、自分で検査を考えオーダーし、自分でその結果を解釈する。帰せるのか?上級医に助けを求めた方がいいのか?病棟業務と違い、すべて自分のアタマで考えなければいけません

②「あなたも名医!もう困らない救急・当直」日本医事新報社
全国的に有名な福井の救急医、林先生の著です。研修医向けの教育動画・DVDもたくさん出しているので、そちらを見た人も居るかもしれません。
この本は研修医の救急当直に焦点を当て「どんな症状の人が来たら、どんなことを検査して、どんな初期治療を施すか」を網羅しています。
当直医に求められているのは「翌朝に専門外来を受診するまで、その患者を守ること」です。
完璧な診断も、完璧な根治療法も当直では要りません。
翌朝まで放っておくと危険な病気を拾い上げることさえできれば、研修医の当直としては十分に合格です。
そういう意味でこの本は当直対応として過不足ない内容で、症候別にまとまってあり読みやすさも抜群です。
林先生らしくエビデンスもきっちり示されている、信頼できる1冊です。当直時、私は必ず鞄に入れていました

また林先生著の他の本として「Step Beyond Resident」シリーズがあります。こちらもかなりおすすめですが、内容が詳しくレベルが高いので、順番としては後回しの方が学習効率がいいです。

③「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」医学書院
こちらはタイトル通り、より内科的な疾患に特化した本です。
米国臨床留学を経験した著名な総合診療Dr.の編著です。よくある内科的主訴に対して、それぞれ系統立った考え方が示されています。
この本がとくに優れているのは「重症度」と「頻度」の軸が明記されているところです。
医療の世界は確率論ですから、疾患頻度を意識することは極めて重要です。毎日診るような病気と、国内に50人しかいない希少疾患を区別なく併記している日本の教科書は残念ながら少なくありません。
忙しい研修生活の中では希少疾患に多くの時間は割けませんから、commonな症状・疾患への基本的な考え方・対応・治療を先にマスターする方が効率がいいです。
米国の臨床はその点が日本に比べて進んでおり、適切な鑑別診断・アプローチのエッセンスを学ぶことができます
診察室に迎え入れる前に症状だけ先に看護師さんから聞いておき、該当ページを流し読みするだけでもアセスメントのクオリティは劇的に向上します。

■初期研修医の必読書 まとめ

研修期間中にお世話になった内容の素晴らしい本はたくさんありましたが、とくにお世話になったといえばこの3冊です。

全員に超おすすめなのは①「内科レジデントの鉄則」
早い段階から救急対応があるなら②「あなたも名医!もう困らない救急・当直」

救急外来があるが、内科的疾患が多い/内科ローテが早い段階にやってくるなら③「ジェネラリストのための内科外来マニュアル」

私が初期研修医に戻れるなら・・・まず①②を熟読し、業務に慣れてきた頃合いに③を購入します。
初期研修の2年間は、その後の医師としてのスタンスを決める大事な時期です。
効率よく業務を覚え、効率よく研修内容を習得していきたいところです。
このブログに載っている財テクはほどほどにして、まずは自身の医療スキルを伸ばすことを優先しましょう
きちんと力を付けていけば、仕事もお金も後からどうとでもなります。

それから、研修医としての心構えも、早い段階で確立しておきたいところです。

「研修医になったら必ず読んでください」:新米医師が初期研修を充実させるために

おまけ1 医学書を安く買うには

医学書は高価なので、少しでも安く買いたいところです。
研修医はお給料も知れてますからね。。
いくつかの方法を知っておくだけで、同じ本でも割安に入手することができます。

医学書を安く買う方法とコツをまとめてみた

おまけ2 専門科の選び方

初期研修も2年目に入れば、そろそろ自分が何科に進むのかを決めなければいけません。
いろいろな科で研修していく中で、将来やりたいことも少しずつ明確になってきたはずです。
学生時代の気持ちが、実際の臨床経験を経て大きく変わることも稀ではありません。

志望科の選択は自分の人生数十年を大きく左右する重大な決断です。
上司や先輩に相談するのももちろんよいですが、違った切り口を持っておくことも大事です。

現役医師がおすすめする/しない、専門科の選択

もしもすでに眼科に行くと決めているのであれば、以下のnoteがとても参考になります
自由選択期間をどのように使うかどうかの羅針盤です。

>>>眼科志望の初期研修医/医学生のための、自由選択期間の使い道ガイド!

おまけ3 使い終えた教科書・医学書の活用法

初期研修医になると、頭の中は臨床のことでいっぱいになります。
ほとんどの人は、腰を据えて基礎医学の勉強をすることはもうないでしょう。

基礎医学を筆頭に、本棚の肥やしになっている二度と読まない教科書は早めに処分しておいた方がいろいろな意味でオトクです。

処分するといっても、廃棄するのではありません。
上手に売れば、廃棄するはずだった医学書はすべてお金に変えることができます

詳しくはこちら↓

使い終えた医学書を高く売るコツ:廃棄本すらもお金に変えよう

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