医師、看護師、薬剤師あたりは誰でも知っているはず。
今回は、知名度こそ低いものの、眼科外来になくてはならない視能訓練士にスポットを当ててみましょう。
英語ではOrthoptist、眼科の業界ではORT (オーアールティー)と呼びます。
視能訓練士も、れっきとした国家資格のひとつです。
この職種はワークライフバランスに優れ安定して働きやすいわりに、なるのが比較的容易な穴場でもあります。
■視能訓練士の仕事内容
眼科検査のほぼすべてを担うことができます。
一般的なものであれば視力検査、眼圧測定、視野検査、屈折検査などですね。
ほかには子供の弱視訓練や眼鏡の度数調整なんかも行うことができます。
眼科を受診すると、医師の診察の前におねえさんがいろいろと検査してくれるはず。その人のことです。
詳しく知りたければ、こんな本もあります↓
■視能訓練士になるには
(Career Garden HPより)
上の表の通り
①高校卒業後に3-4年視能訓練の学校に通う
②短大・大学など卒業後に1年視能訓練の学校に通う
の主に2つのルートがあります。
ここで注目すべきは②です。
たとえば大卒のOLさんであれば、たった1年で医療系の国家資格をとり、医療専門職として働くことが可能なのです。
看護師も安定した医療職として有名ですが
高校の看護学科なら5年
看護専門学校・短大なら3年
4年制大学なら4年
勉強しなければいけません。
また、国家試験の合格率は2018年は91.0%でした。
薬剤師なら6年間の勉強が必要で、2018年の国家試験合格率は70.58%でした。
それと比較すると、視能訓練士の参入障壁の低さが目立ちます。
ちなみに視能訓練士の国家試験の合格率は、2016年3月卒業生で98.0%です。
(公益社団法人 日本視能訓練士協会 発表より)
ふつうにしていればふつうに受かるはずです。
しかも後述の通り、視能訓練士は看護師と違い夜勤も超過勤務も皆無です。
より詳しく知りたい人は、こちらの本を読んでみましょう↓
■視能訓練士の年収・待遇
Career Gardenによると、年収のボリュームゾーンは350万円~450万円とのことです。
もちろん勤務先によって多少の違いはありますが、おおむねこんなところでしょう。
私は眼科医ですから、当然たくさんの視能訓練士と話をします。
彼らに視能訓練士という職業について聞いてみると
男性ORT:「給与はまずまずでワークライフバランスもいいが、大学時代の同級生と比べて昇給幅が小さいためちょっと悔しい 歳をとると差がつきそう」
女性ORT:「時短勤務やフレックス勤務がしやすいし、医療職なのに定時終わりだし夜勤もない。子育てとの両立がしやすい。なのにスーパーのレジ打ちよりずっと時給がよくて、超ホワイト♪」
というのが私の周りの一般的な声です。
ガンガン稼ぐ男には敵わないが、ホワイト環境の割には待遇がいい、といった感じです。
上の声通り、眼科外来での勤務は、病棟勤務と違って夜勤がありません。
また眼科外来は基本的に緊急疾患が少なく、定時できちんと終わるところがほとんどです。
ですから労働環境としてはメチャクチャホワイトです。
国家資格に守られた医療職ですから、給与も安定していて悪くありません。
■視能訓練士の求人は潤沢
しかも医師と同様に求人やアルバイトも豊富です。
あなたの街に、眼科開業医のクリニックがいくつもあるはずです。
大きな総合病院にも、眼科があるでしょう。
その一つ一つに、何人もの視能訓練士が必要になります。
医療は流動性の高い業界ですが、知り合いの視能訓練士で働き口に困っている人は見たことがありません。
それだけ需要のある職業だということです。
■視能訓練士まとめ
・なるのが比較的容易
・ワークライフバランスが抜群
の二点が特徴的です。
男性は年収でマウンティングしてしまう生き物ですから、ちょっと物足りない思いをすることもあるかもしれません。
一方女性はなりやすさ・働きやすさ・待遇の観点から、なかなかおすすめの職業だと思います。
誰でも知っているメジャーな職業ではありませんが。
私も恥ずかしながら、眼科医になるまで視能訓練士という仕事を知りませんでした。
将来が不安な女性、手に職をつけて安定したい女性、共働き・子育て中でも無理なく家計を支えたい女性にはうってつけの仕事と言えます。
私は将来、もしも非医療系の奥さんができた場合には、一度は視能訓練士について打診してみるつもりです。(ただしこのブサメンに嫁いでくれる人が将来現れるかは分かりませんw)
自分の仕事への理解も深まるし、家庭を持ちながらも活躍ができる素晴らしい職業だと思うからです。