書評「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」


今回は「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」という本の書評です。

投資好きドクターの間では有名な本書
私なりの視点で、この本を解釈してみます。

ちなみに著者はDr.Kですが、Dr.Koalaとは別人です。
手前味噌な宣伝ではありません笑

■医師向けの株式投資戦術


この本の最大の特徴は、著者が実際に勤務医として働いている点でしょう。
勤務医の1日の中で、株価や企業の情報収集をいつ・どんなHPで行えばよいかなんかも書いてありますが、こんなものは勤務医にしか書けません
証券会社のアナリストには書けません。

随所で多忙な勤務医特有の事情に配慮してあります。 医者の気持ちは、医者が一番よく分かります

投資を始めたころの失敗談もいろいろ書いてあって、そちらもおもしろいですね。
流行株に飛びついたり、システムトレード、仕手株など一通りの失敗を経験されているようです。
他人の失敗は、ついつい楽しく読めてしまいますw笑

■良質な投資入門書

投資の入門書として、質が高いです。

株式投資の基本知識

株式投資家なら知っておくべき常識や、決算の読み方など、個別株投資の基本が一通り学べます
株価チャートの解説も詳しいです。
ここを理解すれば、日々の経済ニュースも見るのが楽しみになります。

本書ではたくさんある銘柄の中からいかにして「割安な株」を見つけ出すかのイロハが書かれています。
客観的・定量的な数値や指標を用いて、その株が「買いかどうか」を判断する手法について多く述べられています。

PERPBRは投資家としては常識ですが、その他に「ネットネット株」のDr.KオリジナルバージョンやPEGレシオなど、知っていれば大損のリスクを減らすことができるパールが満載です。

結局のところ、高値買い(からの狼狽売り)が株で損するもっとも典型的なパターンですから。

株式投資の入口・出口

株式は、買うのは比較的簡単ですが売るのは案外難しいです。
もっと下がるから早めに売って損切りすべきなのか。一時的な下落でありナンピン買いのチャンスなのか。

含み損を抱えてしまったとき、あるいは逆に含み益があるとき。投資における心理コントロールも重要ですね。

株式投資ではさまざまな局面で難しい判断を迫られるわけですが、本書では入口戦略のみならず出口戦略についても書かれているところが実践的です。

株式投資の用語説明

また用語説明も豊富です。
「日経平均株価」「TOPIX」 ・・・誰もが聞いたことのある言葉ですが、その意味を御存知ですか。
ニュースを正しく理解するためには、正しい前提知識が必要です。
そしてそれが本書ではきちんと解説されています。

ちなみに株の売買が成立することを「約定」といいますが、この本を読むまでは「やくてい」と読んでいました。本質的な意味はありませんがw

■投資スタイルは日本の個別株投資・バリュー戦略


ただ、著者の基本的な投資スタイルは私と大きく異なります。

海外株メインの私に対して、筆者は日本株メイン
ETFメインの私に対して、筆者は個別株メイン

割安な銘柄を狙う、バリュー戦略は共通しているといえます。

この投資スタイルの違いがどう影響してくるかというと・・・

著者のスタイルは私のと比べて
より手間がかかり
より価格変動(リスク)が大きいが
うまくやれば、よりリターンが大きくなります

日本市場は一般に、ボラティリティが高い(価格変動が大きい)相場です。
つまり難易度が高い一方で、相場のうねりをうまく捉えることができれば大きな成果が上がるということです。
またETFよりも個別株のほうが、ハイリスクハイリターンです。

したがって決算や業績を解釈し、適切なタイミングで適切な銘柄を買うことができればコツコツETF投資よりも大きなリターンを得ることができます

私の投資スタイルの場合、医師なら億り人(資産1億円)は十分射程範囲内ですが、資産5億円の大金持ちになるのは難しいです。
一方著者の方法なら、腕が良ければどこまでも上を目指せます

ただしそれはリスクを同時に背負っていること、また銘柄分析に時間や手間が必要であることに注意が必要です。

そういう意味で、投資スタイル自体は私のものよりも上級者向けです。
私の割安ETFをバイ&ホールドするコツコツ戦略は、単純で誰にでも比較的容易です。

私は個別銘柄分析や日々の決算チェックを特段してはいません。
余剰資金が手に入ったら、寝る前(アメリカのNY市場がオープンしてから)に「そのとき割安なETF」を買い増しているだけです。

■「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」書評まとめ

マネーリテラシーが一般に低く、業者のカモにされがちな医師に一石を投じる良書です。
いわば医師向けの、正統派の株式投資指南本です。

医師の境遇に配慮しながら、投資に関する知識を一通り身に付けることができます

ただし投資スタイルはやや上級者向けです。
私の場合は投資に時間をかけすぎず、本業をより大事にするためにETFをコツコツ買い増ししています。

医師投資家が、ETF(上場投資信託)を購入する理由

以上、投資を始めてみたい・始めたてのドクターにとって、学ぶところの多い良心的でユニークな1冊です。
値段もそんなにしないし、ページ数は200ページ程度と負担もありません。
寝当直の合間や通勤時間にでも、さくっと読めてしまいます

株式投資に関心のある医師には自信を持っておすすめできます。


コメントを残す