「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」書評


山崎元という方をご存知でしょうか。

日本で最も有名な経済評論家の1人です。
私も資産形成を始めたころから、大きな影響を受けています。

現在は楽天証券経済研究所の客員研究員をされています。
東京大学経済学部卒で、三菱商事・野村投信委託・住友生命保険・住友信託銀行・シュローダー投信・NBインベストメントテクノロジー・メリルリンチ証券・パリバ証券・山一證券・第一勧業朝日投信投資顧問・明治生命保険・UFJ総合研究所での勤務歴がある、金融のスペシャリストです。
獨協大学経済学部特任教授を兼任していた時期もあります。

今回はそんな彼の著書を、Amazonプライムで読んでみました。

Amazonユーザー必見!Amazonプライム会員になってみた


プライム会員でなくとも、1000円なのでそんなに金銭負担はありません。
また100ページ弱なので、すぐに読み切ることができます
私は休日のアルバイト中、患者待機時間だけで通読できましたw

私は今でも、「ホンネの投資教室」をはじめとして彼の考え方に日常的に触れています。
ただ「ホンネの投資教室」を読んでみると分かりますが、読者側への要求知識レベルが高く、ある程度のバックグラウンドがないと彼の言うことを100%理解することはできません。
経歴通りの超インテリなので。。

しかしこの本はもう一人の著者(作家・編集者として活躍中だそうです)が間に入ることで、そんな堅苦しさを取っ払って端的で分かりやすい説明に終始しています。
項目ごとにまとめイラストもあり、非常に読みやすく・理解しやすくなっています

では目次に沿って、内容をレビューしていきたいと思います。

■お金を安全に持っておく


日本国債の仕組みや安全性
について述べられています。
日本ではよくメディアで「金融危機」だの「財政破綻」だの不安を煽る報道がでますが、日本は金融危機に陥ったギリシャなどとは根本的に構造が異なります。
そもそも国が破綻するならその前に銀行が破綻するので、国債の代わりに銀行預金!というのもよく分からない話です。

その他、銀行で金融商品を買うべきでない理由適切な証券会社の選び方も取り上げられています。
おおむね私の考え方とも一致します。

証券会社の選び方:良心的な証券会社を見分けよう

資産形成の基本である複利運用も、具体例とともに書かれています。
ただし複利の本質は、種銭の大きさです。
そこについては載っていないので、こちらの記事で複利効果を大局的に解釈すべきです。

「複利効果を生かせ」は本当か

■ちょっとリスクを取って運用する

お金の価値を考える

資産運用初心者は、インフレの影響を無視しがちです。
手堅く元本を保証しているように思える定期預金でも、インフレにより実質的な価値は減っていきます
戦後ドイツで起こったハイパーインフレが引き合いに出されています。

また、自分にとっての貨幣価値についても日ごろから検討しておくべきだと私は考えています。
同じ1万円でも、小学生時代・大学生時代・研修医時代、とその価値は変化しているはずです。
これを意識していると、金融資産の価値を長期的な視点で捉えられるようになると思います。

将来の価値をふまえた、お金の使い方を提言!

良質な投資信託を選ぼう

外貨預金やデイトレード、FX・REIT・金・先物はすべてバッサリ切られています。
安全で確実、再現性の高い資産運用のためにはこれらはまったく不要ですね。著者に完全に同意します。

そして推奨される金融商品として、良質な投資信託を挙げています。
投資信託でリスク(資産変動)が押さえられる理由、買うべきでない投資信託の種類や判断基準、さらには具体的な商品名まで踏み込んで書いてあります。
リスクプレミアム」の概念や、パッシブファンド⇔アクティブファンドも投資する上では必須の知識ですね。

私がiDeCoで積立しているニッセイ外国株式も、良質な投資信託の1つです。

なお、私は投資信託よりも海外ETFのほうが好みです。
著者ももちろんETFを御存知ですが、おそらくETFが若干購入に手間がかかること、投資信託のほうが少額でも買いやすいことなどから本書では取り扱いがありません。
投資初心者が読者ターゲットだからでしょう。

医師投資家が、ETF(上場投資信託)を購入する理由

また著者は国内と海外の投信を1:1で保有することを提言していますが、これは個人的には推奨しません。
なぜなら生活基盤・給与などほとんどの資産を私たちは日本・日本円の形で持っています。
つまりリスク分散の観点からは日本以外のものの比率を挙げておくべきです。
そもそも経済規模から考えても、日本だけで50%を占めてしまうのはやりすぎかなと思います。

私の現在の保有リスク資産の内訳はこちら↓

ギャンブルや宝くじはダメ

ギャンブルや宝くじは株式投資とは根本的に違うのですが、どう違うのか・なぜだめなのかを明快に説明してあります。

なお私自身も国内外の種々の宝くじから、期待値やら還元率やらいろいろと検討してみたことがあります。
結論を言ってしまうと「おいしいだけの話はない」ということです。

宝くじの真実 課税分を考慮した実質の期待値・還元率を計算してみた

不動産投資について

私も著者も、不動産投資には消極的です。
さまざまなリスクや業界の裏事情についても、本書には載っています。

医師投資家としては、こんなふうに考えています↓

医師は不動産投資に向いている? 株式と不動産を比べてみる

■お金を使う

持家vs賃貸論争 戸建vsマンション論争

新築マンションを買うのはヤバイ、というのはご存知だと思います。(もしこれが当たり前だと思えない人は、この本をとくに読むべきだと思います。。)
その他、住宅ローン金利・資産の流動性・通勤時間の観点から、持家と賃貸戸建とマンションの選択について論じています。

私のような医師の場合は、転勤だったり医師免許というポータブルな資格だったりのため、賃貸がいいのではと私は考えています。

持家vs賃貸 論争:国家資格を生かし、不安定で流動的な未来を生き抜く

保険に入るべきか否か

この保険の項は、私自身かなり著者の考えに影響を受けています。
端的に言えば「本当に必要なものだけに絞る」ことが重要です。

日本は(縮小傾向にあるとはいえ)公的な保険機能が充実しています。
保険は本質的には保険会社が有利になるよう設計されているので、よくよく考えて契約する必要があります。

「貯蓄」と「保険」は切り分けて考えなければいけません。

保険 一般論

結婚とお金


結婚について、著者は独特なそろばん勘定をします(ユニークでおもしろいですw)
「稼ぎのある奥さんは資産になるけど、そうでない奥さんは負債になる」という強烈なフレーズも出てきます。
特に男性は読む価値あると思います。
結婚とお金に関しては、m3.comでも頻繁に議論されていますね。

m3.com 医師向けのおすすめポータルサイト

■トクする制度を使って実際に買ってみる

NISA・つみたてNISA

投資で税制優遇を得るための鉄板制度である NISA・つみたてNISAについて解説しています。
自分の許容できるリスクから、実際に何をいくら買えばいいかまで示してあります。

非常に分かりやすく書かれていますが、いくつか注意点を指摘しておきます。

①上述の通り、国内ファンド・海外ファンドを半々で買うのは個人的には反対です。
まあこれは好みの問題ですが。

②投資信託は一括購入すべきとありますが、「少しずつ買うと購入手数料が余計にかかる」というのは昔の話です。
昨今の優良投資信託はみんな買付手数料無料(ノーロード)のため、ドルコスト平均法でちまちま購入したほうが、投資リスク(価格変動リスク)を抑えることができます
投資前の待機資金に機会損失が生じる(現金の形で待機している間はその資産は運用されないため)、というのはたしかなので、好き好きですね・・・

■年金と確定拠出年金

確定拠出年金

確定拠出年金は絶大な節税効果があり、利用必須の制度です。

本書でも制度やメリットについて概説しています。
勤め先によって少し変わるので、職場に要確認です。

医師のiDeCo:圧倒的な節税効果を確保せよ

個人年金保険

筆者は個人年金保険に反対の立場です。
医療保険などと同様の理由ですね。

私はその節税効果・トンチン性に価値があると思っているので、各社商品を比較・熟考の上で最低限の保険金額で契約をしています。

詳しくはこちらに書きました↓

【個人年金保険】契約するなら「JA共済 ライフロード」一択!

公的年金の不払いについて

年金は将来どうなるか不安視されており、どうせ払った分は戻ってこないという理由で年金を支払わない人が若者を中心に増えてきています。

しかし著者は年金不払いに反対です。
「たとえば消費税だって年金の財源になっているので、年金を支払わずに受給資格を失う若者は税金分損をしている」というのは個人的には目からウロコでした。

ただ、本書には書いていない不払いの最大のリスクは「障害年金・遺族年金が受給できないこと」です。
交通事故にでも遭って後遺症が残った場合・ 家族を残して死亡した場合のリスクヘッジをまるまる捨てることになります
日本の優れた弱者救済制度を、みすみす手放してしまうわけです。

■書評のまとめと注意点

資産形成の考え方に関して、私が大きな影響を受けた山崎元氏の著書です。
非常に読みやすく仕上がっており、資産形成に重要なポイントが要領よくコンパクトにまとまっています

◇注意点①
限られたページで多くのことを説明しているため、厳密な解説は省かれています

「なぜ?」を追求してしまう人はもやもやするかもしれませんが、タイトルの通り読者ターゲットは初心者です。
その点、初心者がイヤになってしまう理論はあえて割愛し、バッサリ言い切ってしまうことで分かりやすさを実現しています。

きちんと理解したい人は、別の媒体でさらなる勉強が必要です。

◇注意点②
著者は現在、楽天証券経済研究所で働いています。
つまり楽天証券との利害関係があり、株式投資へのバイアスがかかっている可能性はあります。
私自身は彼の考え方に納得のいく部分が多く大きな影響を受けていますが、鵜呑みにはすべきでありません

実際、書評で述べたように私は、彼とは投資方針が違ったり、彼が不要だという個人年金保険を契約していたりします。
いかなる情報も鵜呑みにはせず、自分の頭で考えるようにしましょう

この本も、すばらしいことがたくさん書いてありますが、それでもすべてを盲信するのは間違っていると思います。

こうした注意点もふまえた上で、ぜひ読んでみてください。
多くの学びが、短時間に得られるはずです。


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