このブログの読者で、宝くじを日常的に買っている人は少ないと思います。
私の推奨する「資産形成の大原則」に気を付けることで確実に・着実に資産を積み重ねることができるからです。
それに比べて宝くじは期待値がずっと劣るため、通常は資産形成には不向きです。
資産形成の大原則
しかしそのボラティリティはたしかに魅力的、一発逆転のチャンスがあるのは事実です。
世の中にはさまざまな種類のくじがあり、それらを比較・検討してみたことで見えてきたものがありました。
重要な前提条件は、日本国民には納税義務がある、ということです。
途中の計算が煩雑で長いので、うっとうしい人は最後のまとめだけを読めばOKです。
もくじ
■確率論で考える、宝くじの基本
宝くじは慈善事業ではありませんから、必ず胴元に利益がなければいけません。
つまり投入した金額に対する期待値は必ずマイナスになります。
収益構造としては保険の仕組みと似ています。
「わずかの大金持ちを生み出すために、みんなでお金を少しずつ出し合う」というイメージです。
保険 一般論
保険と同様のシステムですから、消費者としては「お小遣いの足しになるような少額当選」を狙っても意味がありません。(上記「保険 一般論」でいうところの医療保険ですね)
「自分の収支状態や労働状況を一変させるほどの大きな当選金」であれば万が一当選した場合にインパクトがあり、一攫千金を狙う価値はあります。(上記「保険 一般論」でいうところの自動車損害保険に似ています)
たとえばある宝くじの還元率が50%だとすると、1万円分宝くじを買うと平均的には5000円返ってくる、ということになります。
買えば買うほどボラティリティは低下しこの期待値に収束するため、宝くじを買いまくるというのは合理的ではありません。
youtuberがたまに「■■■万円分の宝くじを買ってみた」みたいな動画をアップしていますが、経済的にはあまり合理性はありません。
実際みなさん収支はマイナスのようです。
もっとも、彼らは宝くじそのものではなく宝くじの動画によってyoutubeから多くの収入が見込めるので、そちらで元がとれるのでしょう。
(それにしても、若くしてこれだけの大金をポンと払えるとは...有名youtuberは稼ぐのですね!)
では以下、国内外の主要な宝くじに関してそれぞれ議論してみます。
私の年齢・入金余力の場合、 数十万円程度であれば毎月稼げるのでさほどインパクトはありません。
1000万円以上の当選金であればかなり経済状況が変わります。
若い時期に種銭が一気に増えることで、その後の投資活動が非常に有利になるからです↓
「複利効果を生かせ」は本当か
今回は1000万円以上の当選を「高額当選」と定義します。
■ミニロト
1から31の数字の中から異なる5つの数字を選ぶ、「数字選択式」の宝くじです。
毎週火曜日に抽選が行われます。
1口単価:200円
高額当選の金額(と確率):1000万円(0.00058854%)
数字を見やすくするために、ミニロト購入額を100万円にして考えてみます。
ミニロト購入額100万円あたりの高額当選確率は 2.943%
つまりミニロト購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 1000万円×2.943%で 294300円 です。
ちなみに全当選金額を加味すると、還元率は50%弱となっています。(法律で決まっています)
■ロト6
1から43の数字の中から異なる6つの数字を選ぶ、「数字選択式」の宝くじです。
週に2回(月曜日と木曜日)抽選が行われます。
1口単価:200円
高額当選の金額(と確率):1000万円(6/6096454) または 2億円(1/6096454)
数字を見やすくするために、ロト6購入額を100万円にして考えてみます。
ロト6購入額100万円あたりの高額当選確率は 0.574%
つまりロト6購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 1000万円×0.574%×6/7 + 2億円×0.574%×1/7で 213200円 です。
ちなみに全当選金額を加味すると、還元率は50%弱となっています。(法律で決まっています)
■ジャンボ宝くじ
よくCMで流れていますね。
「バレンタインジャンボ宝くじ」「ドリームジャンボ宝くじ」「サマージャンボ宝くじ」「ハロウィンジャンボ宝くじ」「年末ジャンボ宝くじ」の年5回開催されます。
回によって金額が若干違うらしいので、とりあえず公式サイトに載っていた「平成26年 年末ジャンボ宝くじ(第669回全国自治宝くじ)」で計算してみます。
1口単価:300円
高額当選の金額(と確率):2000万円(0.0000003%=3/1000万) または 1億円(0.0000002%=2/1000万) または 5億円(0.0000001%=1/1000万)
数字を見やすくするために、ジャンボ宝くじ購入額を100万円にして考えてみます。
ジャンボ宝くじ購入額100万円あたりの高額当選確率は 0.2%
つまりジャンボ宝くじ購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 2000万円×0.2%×3/6 + 1億円×0.2%×2/6 + 5億円×0.2%×1/6で 253333円 です。
ちなみに全当選金額を加味すると、還元率は50%弱となっています。(法律で決まっています)
■当たるんですメガ
「当たるんです」は公営競技「オートレース」を宝くじにしたものです。
当選確率の高さで話題ですね。
1口単価:3500円
高額当選の金額(と確率):1000万円(1/4096)
数字を見やすくするために、当たるんですメガ購入額を100万円にして考えてみます。
当たるんですメガ購入額100万円あたりの高額当選確率は 6.975%
つまり当たるんですメガ購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 1000万円×6.975%で 697500円 です。
が、しかし。
当たるんですメガは一般の宝くじと異なり雑所得として課税対象になります。
元々の収入によって個人差が若干ありますが、1000万円の当選金は手取りでは おおよそ 800万円になります。
つまり高額当選期待値は 800万円×6.975%で 558000円 です。
100万円当たるんですメガを買えば、55.8万円返ってくるということです。
当選金は1000万円の1通りしかないので、還元率は55.8%になります。
還元率70%という宣伝をたまに見かけますが、課税を考慮した実質の手取り還元率は55.8%です。
■当たるんですギガ
「当たるんですメガ」の、単価10倍バージョンです。
一口あたりの値段が10倍、当選金額も10倍になっています。
1口単価:35000円
高額当選の金額(と確率):1億円(1/4096)
数字を見やすくするために、当たるんですギガ購入額を100万円にして考えてみます。
当たるんですギガ購入額100万円あたりの高額当選確率は 0.6975%
つまり当たるんですギガ購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 1億円×0.6975%で 697500円 です。
が、しかし。
当たるんですギガは一般の宝くじと異なり雑所得として課税対象になります。
元々の収入によって個人差が若干ありますが、1億円の当選金は手取りでは おおよそ 7000万円になります。
つまり高額当選期待値は 7000万円×0.6975%で 488250円 です。
100万円当たるんですギガを買えば、48.8万円返ってくるということです。
当選金は1億円の1通りしかないので、還元率は48.8%になります。
還元率70%という宣伝をたまに見かけますが、課税を考慮した実質の手取り還元率は48.8%です。
■ドバイの宝くじ(Dubai Duty Free の Millennium Millionaire)
ドバイの空港で買える宝くじです。
ドバイといえばエミレーツ航空のハブ空港です。
エミレーツ航空を利用してヨーロッパやアフリカにアクセスしやすいことから、旅好きの間ではちょっと有名な宝くじです。
というのも、当選金が100万ドル(1億円以上)なのに当選確率が1/5000なんです。
オンラインでもシステム的には買えますが、国内法により日本に居ながらにして他国の宝くじを買うことはできないので、日本国民はネットで買わずに現地で買いましょう。
(ドバイ以外の第3国でのオンライン購入はできそうな気がしますが、過去の事例がなく断言はできません)
では同様に考えていきます。
1口単価:278米ドル≒約30000円
高額当選の金額(と確率):100万ドル≒1億円(1/5000)
数字を見やすくするために、ドバイ宝くじ購入額を100万円にして考えてみます。
ドバイ宝くじ購入額100万円あたりの高額当選確率は 0.667%
つまりドバイ宝くじ購入額100万円あたりの、高額当選期待値は 1億円×0.667%で 667000円 です。
が、しかし。
ドバイ宝くじは一般の宝くじと異なり雑所得として課税対象になります。
元々の収入によって個人差が若干ありますが、1億円の当選金は手取りでは おおよそ 7000万円になります。
つまり高額当選期待値は 7000万円×0.667%で 466900円 です。
100万円ドバイ宝くじを買えば、46.7万円返ってくるということです。
当選金は100万ドルの1通りしかないので、還元率は46.7%になります。
還元率70%弱というブログをたまに見かけますが、課税を考慮した実質の手取り還元率は46.7%です。
■宝くじの当選確率・期待値まとめ
では上記結果をまとめてみます。
高額当選期待値(100万円当たり) | 実質(手取り)還元率 | |
---|---|---|
ミニロト | 294300円 | 50%弱 |
ロト6 | 213200円 | 50%弱 |
ジャンボ宝くじ | 253333円 | 50%弱 |
当たるんですメガ | 558000円 | 55.8% |
当たるんですギガ | 488250円 | 48.8% |
ドバイ宝くじ | 466900円 | 46.7% |
ここから分かることは、どの宝くじを買ってもその還元率には大差がないということです。
違いといえば、高額当選の期待値になります。
つまり同じ還元率であっても、それを少数の高額当選者にだけ分配するのか、あるいは額を小さくして当選者の数を増やすのかが違うということです。
少数精鋭派か、みんなで少しずつ分配派か、が各宝くじの個性となります。
また「当たるんです」や「ドバイの宝くじ」は高い還元率を売りにしていますが、私たちが住んでいるのは日本。
宝くじの当選金は非課税で受け取れる一方、 「当たるんです」や「ドバイの宝くじ」は雑所得として課税対象です。
実質の手取り金額で計算してみると、案外日本の宝くじと大差がなくなってしまいます。
またこれらの宝くじは一口当たりの値段が高いことに気をつけなければいけません。
日本の通常の宝くじよりもゼロが1つか2つ多いわけですから、当選数か当選金額もゼロが1つか2つ増えるのは当たり前です。
一方で還元率はだいたい同じですから、購入金額を揃えれば実質の当選金額は横並びになります。
要するに、1口300円と1口30000円の宝くじを比較すると騙されるということです。
たとえば日本の宝くじとドバイの宝くじを比べるなら、日本の宝くじ100枚とドバイの宝くじ1枚を比較しないと本当のところは見えてきません。
当たるんです でも同様ですね。
見た目・表面上の確率や金額に騙されてはいけません。
結論としては「やっぱりそんなに甘い話は、世の中転がっていない」ということです。トホホ
確実に資産を形成していこうと思うのなら、王道はありません。
千里の道も一歩から。こちらの記事が参考になります↓