医学生におすすめの教科書 臨床医学編


基礎医学(医学部生活の前半)は、極論すると1冊の教科書に集約することができます。

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医学生が絶対に買うべき1冊 医師として働いているからこそ分かる良書

では臨床医学でも同様に、おすすめ教科書をピックアップしていきます。
医学部生活後半も、コストパフォーマンスを求め勉強は要領よくこなし、部活やアルバイト・旅行なんかにもしっかり時間を使いましょう。一度医師として働き出してしまうと、しばらくは仕事以外の新しいことに手をつけるのが難しくなります!

メジャー科

さまざまな教科書シリーズがあります。
私のちょっと上の世代までは「STEP」シリーズがメインストリームでした。
しかしメディックメディアの「病気がみえる」シリーズはそのシェアを根こそぎ奪い、今ではトップの座に君臨しています
周りでも使っている人が多いと思いますが、臨床医学を学ぶ医学部上級生にとってはマストバイです。

通称「病みえ」の売りポイントはたくさんあります。

イラストが多く視覚的に理解できる

その名の通り、非常にイラスト・シェーマが多いです。
基本的に人間は字面だけよりもイラストと併せて勉強した方が理解が早いです。
「人は見た目が9割」と言いますが、いかに視覚に頼って日々生活しているかをうまく言い表しています。
徹底的にビジュアルを重視した結果、他書には類を見ない分かりやすさを実現することができました。

私自身は研修医になってからでさえ活用していました。ローテーション前にさっと読み直しておくことでスムーズにその科の研修に入っていくことができました。

価格が安い

おおむね1冊4000円程度と、医学書にしては破格の安さです。
どうも下書き段階を医学生や研修医に下請けすることで(いきなり偉い先生に振らないことで)安さを実現しているようです。
しかし最終的な監修は有名な先生のクレジットが入っています。

また若手への下請けによって内容が劣っているわけでもなく、むしろ若い人が素案を書いているおかげで枝葉末節が取り除かれて分かりやすくなっている印象すらあります。
有名な先生の解説が分かりやすいとは限りません。
野球でも名選手と名コーチ・名監督はかならずしも一致しません。

他社も慌てて類似のイラスト重視の本を出していますが、「病気がみえる」に一日の長があり、完成度ではまだまだ勝負になっていません

どの科も非常に出来がいいためシリーズのすべてがおすすめですが、とくに「脳・神経」「消化器」あたりは優れています。

マイナー科

医学生にとっての当座の目標は医師国家試験に合格することです。
それを重視するとすれば「国試マニュアル100%シリーズ」はマイナー科の参考書としてとても優れています

すべての項目に対して論理的に病態生理を解き明かすわけではないですが、試験に出やすいポイントを中心に簡潔に分類したり、暗記すべき事柄を語呂も活用しながらまとめてくれています
サイズ的に白衣にもすんなり入るので臨床実習・ベッドサイドラーニング中も頻用していました。この本に書いてあるちょっとした内容が、案外後々まで頭に残っています
とくに小児科の出来は秀逸で、初期研修中も適宜参照していました。

その他のおすすめ本

OSCE対策

OSCE対策は「診察と手技がみえる1」が1冊あれば盤石です。
完全準拠レベルの公式教科書かと思えるぐらい、必要なことがすべて載っています
診察や手技は研修医として働きだしたときに真っ先に必要になるスキルなので、この本で医学生のうちにきちんとしたやり方を身に付けておくことで、研修生活をスムーズにスタートさせることができます。

なお「診察と手技がみえる2」は国家試験が終わってからでよいと思います。

医学英語

英語に関しては、留学を経験する前の高校生時分で既に私は英検1級を取得しており(メソドロジーについては後日追記予定)正直ほとんど苦労しませんでした。
ただ医学英語は単純に語彙力とそもそもの医学知識がものを言います。医学論文で出てくる構文は決して難解ではないし、国際学会でのコミュニケーションにも高度な文法は必要ありません。
その単語・その概念を知っているか知っていないか、という差でしかありません。
医学を知らないアメリカ人中学生は、医学英語を理解できません。しかし医学を知っている日本人大学生なら、努力すればするだけ医学英語の力が容易に伸びます。概念さえ知っていれば、あとは語彙力だけの勝負です。

ちなみに研修医生活が始まると、こういう研修医業務に直結しない知識の吸収に充てられる時間はかなり減ってしまいます
ですから医学英語という、重要にもかかわらず習得に時間がかかり、かつ効果がすぐにはなかなか現れない分野に関しては、医学生のうちにある程度慣れ親しんでおくのがスマートです。
英語ができると、それだけでコメディカルからの信頼が一気に増します。英語ができない人ほど、英語ができる人への憧憬が強まります。
一朝一夕では英語はできるようになりません。ぜひ学生時代に少しずつ勉強しておきましょう

私が当直を始めたての頃、救急外来の看護師は明らかに私のことを「まだ未熟で経験不足で、頼りない研修医」として扱っていましたが、ある日外国人患者(欧米の医療従事者だったので、専門用語でやり取りできました)に英語でさくっと対応したことがあり、その日以降私への扱いが激変しました。他の同期と医学知識や臨床能力は大差ないにもかかわらず、明らかに親切だったり気遣いだったりが増え、多少の無理も聞いてもらえるようになりました。

さて、そんな中で「トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ。」は医学英語を習得する効率を大きく上げてくれる参考書です。タイトルはちょっとアレですが笑

医学英語は多くがラテン語由来であり、医学英語ならではの不文律やルールがあります。
たとえば主要な接頭語や接尾語を理解してしまえば、初めて見た単語でもだいたいの意味は分かります
比較的ロジカルな法則がいくつもあるため、それさえマスターしてしまえば非常にとっつきやすい言語です。
法則を理解することで、暗記量が減り自然に意味が分かるようになる・・・私が常々重視している高コスパ体質の勉強法になるわけです。
いわば本書は、その法則のデパートです。医学英語を学ぶ際にマスターしておくべきルールが目白押しなので、これさえ読んでおけば医学英語はかなりとっつきやすいものになります

まとめ

医学部生活の後半で学ぶ事柄も、名著の数はそんなに多くはありません。
良書をセレクトし、おさえるべき項目を効率よくおさえることで、学生生活さらには研修医以降の生活にすら好循環をもたらします。
上記は、私が自信を持っておすすめする「一軍」の教科書・参考書です。

※おまけ
いろいろな科を勉強していくことで、将来やりたいことも少しずつ明確になってくるはずです。
志望科の選択は自分の人生数十年を大きく左右する重大な決断です。
先輩や大学の教官のお話を聞くのももちろんよいですが、違った切り口を持っておくことも大事です。

現役医師がおすすめする/しない、専門科の選択


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