今回は大変勉強になる私のお気に入り講座を御紹介します。
眼科医や視能訓練士など、眼科医療に携わる人におすすめです。
■眼光学チュートリアルセミナーとは
毎年夏に東京で開催されている「眼光学」の講演会です。
参加者は毎年100人を超える人気講座です。
(会場で運営スタッフさんに聞いてみました笑)
緑内障だったり、加齢黄斑変性だったりは学会のシンポジウムや製薬会社主催の講演会など、勉強する機会がたくさんあります。
しかし眼光学のセミナーは他所では皆無ですから、本セミナーには高い価値があります。
臨床的な目線から少し距離を置いて、波動力学・光学、あるいは眼科機械の設計など少し違った観点から眼科を俯瞰することで、たくさんの学びがあります。
他の講演会では絶対に聞けない、唯一無二の内容をたったの2日間で集中的に学習することのできる稀有な機会なのです。
臨床の学会での演者はほぼ100%眼科医ですが、本セミナーでは光学系のエンジニアや視能訓練士、物理系研究者など多様です。
臨床医とは明らかに切り口が違い、目からウロコの連続です。
ちなみに受講生も眼科医と視能訓練士で半々程度だそうです。(スタッフ談)
私のような、リピーターもたくさんいます。
一度で完全に習得するのは難しい奥の深い分野ですから、何度も聴講することで少しずつ知識が定着するのでしょう。
日程
例年夏の土日をまるまる使って行われます。
土曜日の朝からスタートするので、私のような地方在住者は前泊がベターです。
私は神戸からANA・JAL、あるいはEX予約や出張パックを使っていくことが多いです↓
参加費
・日本眼光学学会会員:20000円
・JOEM (日本オプトメカトロニクス協会)会員:20000円
・日本視能訓練士協会正会員:10000円
・研修医・学生:10000円
・一 般:25000円
※費用は記事作成時点
変わるかもしれないので、詳しくは公式サイトをご確認ください
なかなか高額ですね。
眼光学学会に入会している人は少ないでしょうから、ふつうの眼科医の場合は参加費だけで25000円かかってしまいます。
(昔は30000円だったので、これでも安くなってますw)
ただこの参加費には分厚いテキストや、テキストの電子ファイルバージョンも含まれており復習に大変便利です。
非東京在住者なら移動や宿泊にも費用がかかってしまうのですが、以下に述べるようにそれだけのお金を払う価値がある講座だと私は思っています。
予定がなければ、例年なるべく顔を出すように私はしています。
それだけ得るものがあるからです。
実際に学べる内容は、開催年によりますが例えば下記のようなものです。
■視力・コントラスト感度
■デジタルデバイスと輻輳・調節
■幾何光学と波動光学
■水晶体の加齢性変化と視機能
■眼内レンズによる屈折矯正
■眼球光学入門
■視覚生理光学入門 (大脳における視覚情報処理)
■老視矯正眼内レンズ
■色覚入門
■眼鏡レンズ
■波面センサー・角膜形状解析
■眼科顕微鏡の眼底観察・立体観察系
■OCT装置の仕組みや読影
■光学的アプローチによる近視進行抑制
ニッチだけど、眼という感覚器官を理解するために非常に重要なトピックスの連続です。
そして、並の学会では聞けないような話が多いのもご納得頂けると思います。
眼科専門医試験の対策にも、もってこいです。
■眼光学チュートリアルセミナーの課題
このようにすばらしい学びを得られるセミナーではありますが、もちろん課題や欠点がないわけではありません。
まず金銭面・時間面の負担は小さくありません。
とくに私のような地方の人間の場合、往復の交通費に加えて前泊が必要で、東京で2泊しないといけません。
神戸と比較しても東京は物価が高いので、もうちょっと安くなるといいなあとは思います。
せめて大阪や京都でもいいので、地方開催もしてくれれば…
またカリキュラムはなかなかタフです。
朝から立て続けに講義があり、しかも内容は濃密です。
目からウロコの連続ということは、自分が今まで知らなかった概念がたくさん登場するということです。
人間、知らないことがつぎつぎに振りかかると、頭の中がオーバーヒートしますよね。
学ぶことがたくさんあるということは、それだけ集中するしエネルギーも使います。
ただ、この濃密なカリキュラムのおかげで、たったの2日間で眼光学の基本を修得できるのです。短所と長所は表裏一体とも言えます。
■眼光学チュートリアルセミナーのまとめ
眼光学チュートリアルセミナーは、眼光学の基本知識を一気に吸収できる唯一無二の講習会です。
時間や費用面での負担はありますが、それだけの価値が間違いなくあります。
私のようにリピーターもたくさんいるくらいです。
難しい概念は一度聞いただけでは理解できなくても、繰り返すうちに頭に定着してきます。
またセミナーの内容自体も眼科学・眼光学の発展に伴いアップデートされていきます。
毎年参加していても、毎年新たな学びがあります。
もしも講座の内容についていけるか不安なら、以下の本で前もって予習しておくのがおすすめです。
眼光学の教科書は新しい・まともなものがほとんどないので、いい参考書といえばこれ一択かなと思います。
■眼科の勉強 おまけ
眼科に従事する医療職の方向けの、その他のおすすめ教科書や講演会を紹介しておきます。
いずれも私が自信を持って推奨する一押しです。