私は長期・短期を含め多数の海外渡航歴がありますが、その中で自分の中での最適解にたどり着きました。
海外旅行は、実は一生を棒に振るような自己破産リスクをはらんでいます。
その可能性は低いですが、起こってしまった場合にはひとたまりもありません。
海外旅行を企画するとついつい目的地での行動プランやアクティビティばかりを考えてしまいますが、海外旅行保険についても少し考えてみましょう。
私のように一度ルーチンを決めてしまうと、いちいち旅行の度に考えなくともリスクから身を守れるようになります。
もくじ
■海外旅行における最大のリスクはケガと病気
海外旅行の際、金銭的に最も大きなリスクとなるのは医療費です。
障害や疾病に対して医療機関を受診すると医療費がかかりますが、国民皆保険制度はすべての国であるわけではありません。
日本の誇る国民健康保険は、自己負担費用の少ない世界でも稀にみる制度です。
米国オバマ大統領が「オバマケア」と称した、日本の皆保険制度を参考にしたシステムを取り入れようとしましたが、頓挫しました。
一般に海外では、医療費の自己負担額は極めて高額です。(とくに欧米で目立ちます)
たとえば・・・
ハワイで心筋梗塞を発症、入院⇒1300万円超
マカオで脳出血、ICU入院⇒2900万円
ニューヨークで盲腸(急性虫垂炎)、術後腹膜炎で入院⇒800万円
(「地球の歩き方」「東京海上日動」「外務省」HPより引用)
いずれも発症頻度の高い病気です。
救急外来をやったことのある医師なら、何度も見たことのあるものばかりです。
当たり前ですが、海外にいる間だけそれらの発症頻度が下がったりはしません。日本にいる時と同じように、発症するリスクをみな抱えています。
心筋梗塞や脳出血は高齢者の病気ですが、盲腸(急性虫垂炎)は10-20代に好発です。老人ばかりが危険なわけではありません。
カメラが盗まれたって、また買えばいいんです。
フライトが遅延したって、延泊してまた別のフライトに乗ればいいんです。
でもあなたは、いきなり2000万円や3000万円も請求されて、なんなく支払うことはできますか?
また自分としては「死亡」が最大のリスクとなりますが、金銭的には大したリスクは生じません。
死んでしまったら、もうお金は必要ないからです。
残された家族が・・・という場合には、遺族年金などの制度がありますし、サラリーマンであれば福利厚生の一環として手当てが支給されることも多いです。
クレジットカード付帯の保険でも、たいてい死亡保障はグレードの低いカードでもそれなりの額が保障されています。(安くても4桁万円)
したがって、海外旅行保険を検討する際に最も注目すべきなのは「治療費用」の金額です。
会社によって「疾病治療費用」「障害治療費用」「治療・救援費用」などと分割されていたりまとめられていたりします。
■そもそも保険の意義とは?
「保険」という商品の本質はこちらで議論しました。
とくに「保険本来の目的」という項を読んでみてください↓
病気やケガを発症する可能性は低いけれど、万が一大病を患ってしまったときの費用負担はすさまじく高額・・・となると、海外旅行保険とはもっとも保険をかけるに値する、適正な契約対象であることが分かります。
上記記事で言うところの「自動車保険」と同じ性質ですね。
海外旅行保険は、支払う保険金額の割にはリスク回避効果の高い商品です。
■クレジットカード付帯の保険だけでいいのでは?
巷のクレジットカードサイトを眺めていると「クレジットカード付帯の保険だけで大丈夫」という意見をよく見ます。
しかしそれは少し危険だと私は考えています。
利用付帯か自動付帯か
自動付帯であれば安心です。そのカードを所有してさえいれば、保険できっちりカバーされます。
しかし利用付帯の場合は注意が必要です。そのカードでツアー代金や航空券代金の支払いをしていることが条件になっていたり、あるいは現地で少しでも使用していればOKのものもあります。
約款をきちんと確認しておかないと、何百万単位の保障があるかないかでは違いが大きすぎます。
そして複数クレジットカードを持っている場合、そんなことはいちいちそれぞれを把握なんてしていられないはずです。(海外渡航時にクレジットカードを複数枚持っていくのはリスクマネジメントの観点から常識です)
十分な金額が保障されているか
医療費の例を上で示しましたが、あなたの所有するクレジットカードは十分な金額をカバーできているでしょうか。
私はクレジットカード好きでいろいろと比較検討するのが趣味wですが、正直言ってゴールドカードですら全然金額的に足りないです。
私の検討ではプラチナカードで初めて、勝負できるレベルに達します。
たとえば
私が取得を検討しているJALグローバルクラブ JCBプラチナカードであれば、治療費用は自動付帯で1000万円です。
ANAスーパーフライヤーズカード(ゴールドカード)では自動付帯ですがたったの150万円です。
JCBは汎用性はVISAやMastercardに劣りますが、保険に関しては日本企業らしく海外他社よりも優れています。
■クレジットカード付帯保険では不足する部分だけを追加したらいいのでは?
あるいは、クレジットカードの保険は凸凹なので、不足すると思う部分だけを追加した方が安くついていいのでは?という意見もあります。
私はこれについても複数社で検討したことがありますが、結論から言うと「No」です。
結局のところクレジットカード付帯の保険でネックになるのは治療費用の金額が小さいことですが、各社保険契約上は治療費用だけを付加することができません。
保険費用の高い、高額な死亡保障などが必須になっており(死亡保障はクレジットカードの保険にも元々十分な金額がついてますよね。。)、割安に買うことはできません。
下手をするとふつうのセット商品を契約した方が割安になるケースすらありました。
おいしいとこどりのうまい話はそうそうない、ということでしょう。
■しかしクレジットカード付帯の保険は合算することが可能
しかし実は、クレジットカード付帯の保険は合算することが可能です。
私の持っているカードもすべて、合算が可能であることを確認済みです。(三井住友カード含め、直接カードデスクに問い合わせをしました)
ゴールドカードであっても、大量に保有していればクレジットカード付帯の保険だけでも必要額をカバーできるようになるかもしれません。
そんなにカードを持っている人は少ないと思いますが・・・。
ちなみに私の場合は
ANAスーパーフライヤーズカードで+150万円
JALグローバルクラブカードで+150万円
大丸松坂屋お得意様ゴールドカードで+200万円
Amazonゴールドカードで+300万円
すべて自動付帯(重要!)で合算してもらえます。
イオンゴールドカード(+100~200万円 自動付帯)やエポスゴールドカード(+200~270万円 自動付帯)は年会費無料で取得可能(少し"修行"が必要ですが)なので、治療費をさらに追加する目的で作成してもいいかなと思っています。
■おすすめの海外旅行保険はどれか
では各社乱立する中で、どの保険会社のものを選択すればよいのでしょうか。
個人的には「治療費を有限にするか無限にするか」で判断すると良いと考えています。
治療費無制限タイプ
文字通り絶対安心のタイプです。ICUで何泊しようが、手術をしようが心配はありません。
ただしその分値段は割高になります。
■エイチ・エス損保「たびとも」
■AIG損保「海外旅行保険」
■ジェイアイ傷害火災保険の「海外旅行保険」
■東京海上日動「海外旅行保険」
などがそれにあたります。
※各社、治療費有限プランも販売しています。
保険料例:30歳男性 10日間イタリア観光の場合・・・11480円 (AIG損保のゴールドプラン)
治療費有限タイプ
無制限ではありませんが、過去の例から考えると安心できる保障水準です。
ゴールドカード等のクレジットカード付帯分を合算することで、さらに安全域を広げることもできます。(上記の通り、私はこれを活用しています)
■損保ジャパン日本興亜「Off!」
■三井住友海上「ネットde保険@とらべる」
■あいおいニッセイ同和損保「eとらべる」
などがそれにあたります。
保険料例:30歳男性 10日間イタリア観光の場合・・・5840円 (損保ジャパン日本興亜「Off!」のPCタイプ)
■私の過去の海外旅行保険 受給例
■ロストバゲッジ (到着空港のターンテーブルから自分のスーツケースが出てこない)
■インドで発熱・下痢のため病院を受診・薬処方
■航空機遅延のため、別切りで買ってあったフライトに乗れなくなった (代わりのフライトチケット代や延泊したホテル代が全額保障されました)
などなど。
トラブルが起こるのは確率の問題なので、たくさん行っていればどうしても巻き込まれます。
いくら予防措置を講じても、手術の合併症と同じでゼロにすることはできません。
ただし幸い入院や高額な請求は今まで経験がありません。
契約会社はどこでも内容に大差はないのですが、損保ジャパン日本興亜の「Off!」に最近はしています。
比較サイトで比べてみると最安ではないことが多いですが、初めてトラブルに巻き込まれたときの対応がとてもよかったからです。
トラブルに遭いメンタルが弱っている中、24時間電話対応OK・給付金の振込もとても早かったのでいい印象を持っています。
保険会社というと払い出しを渋るイメージだったのですが、「ザ・性善説」といった感じで快く対応してもらえました。「トラブルに合われ、とても大変でしたね」というスタンスを終始感じたので、弱った心が安堵したのを今でも覚えています。
損保ジャパンは自動車損保でもお世話になったことがあり、そのときの対応も非常に良かったので個人的にはとても高く評価しています。
ネット上では必ずしもそうでないような書き込みもありますが・・・私とは相性が良いようです。
■まとめ:若手医師が到達した最適解
さまざまな商品を契約し紆余曲折を経ました。
大学生時代は「治療費無制限タイプ」を契約することが多かったです。
今ではクレジットカードの自動付帯もけっこうな額になってきたので、損保ジャパン「Off!」のPCプラン(治療費有限 ただし一番金額が手厚いもの)に落ち着いています。
私はたまたま、損保ジャパンと相性がいいようですが、もちろん損保ジャパンである必要は決してありません。
少しずつ保険内容や保険金額が違いますから、一括見積もりや一括比較をしてみるのもアリです。
治療費が無制限かどうかにとくに注意して見比べてみてください。
とにかく、海外渡航には大きなリスクが潜んでいることを認識しましょう。
一撃で自己破産に至る可能性もありますから、きちんと備えておくことをお勧めします。