「複利」という言葉をご存知でしょうか。
投資の世界で当たり前のように語られるこの言葉には、資産形成のヒントとなる含蓄が隠されています。
■投資は%の世界
いま仮に、配当金が年5%もらえ、株価は変動しない株について考えてみましょう。
つまりインカムゲイン5%、キャピタルゲイン0%の株ということです。
現実世界では、PFF(米国優先株式ETF)がそれに近い商品になります。
もしも10万円投資していれば5000円が手に入ります。しかしこれでは旅行にも行けません。
もしも1億円投資していれば500万円が手に入ります。500万円あれば、並の倹約家なら 自己資産を一切切り崩さずとも 1年間まるまる生活ができます。
つまり投資の世界では、種銭の多いものが勝つということです。投資の金額にかかわらず「%」でリターンが規定されているからです。
■複利を生かせ?
投資の勉強をしていると、よく「複利を生かせ」という主張に出会います。
配当を得たら、そのお金は使ってしまわずにさらに再投資しましょう、それによってより高い投資リターンが得られますという考え方です。
当たり前のように語られているこの論理は、はたして本当なのでしょうか。
これは半分は正解ですが半分は誤りです。
「複利効果」の本質は「元手が大きいほど投資効果の実生活へのインパクトが大きい」ということであり、再投資は元手を増やす作業にすぎません。
再投資云々以前に、とにかく元手が大きければ大きいほど投資では有利なのです。
冒頭の例のように全く同じ商品に投資をしていたとしても、年間で5000円しかもらえない人と500万円ももらえる人がいるということです。
たしかに配当金を再投資することで、より早く資産を増やすことができます。
(https://keisan.casio.jp/ より引用)
このグラフは「100万円を5%単利および5%複利で30年間運用した場合の資産額」です。(税金等は便宜上省略)
トータルで単利の場合は250万円に、複利の場合は432万円になります。
100万円でなく1000万円の種銭であれば、すべて10倍されて単利で2500万円・複利で4320万円になります。
増えた資産がさらに多くの配当金を生み出す。
「雪だるま式に資産が増える」などと表現される所以ですね。
この最終的な金額をそのまま上記商品につぎ込んだ場合(課税を便宜上無視します)、配当金は5%ですから単利で125万円・複利で216万円が30年目には入ってきます。
元本1000万円の投資家の、1年目の配当金はどちらも元々は50万円でしたから、単利と複利の差はなかなかのものだということが分かります。
しかし逆の見方をすると、最初から元本を4320万円持っている人は、1年目から216万円の配当が得られるということになります。
複利云々以前に、それだけの配当が1年目から得られます。
種銭が少ない人は、多い人にはどう転んでもかないません。強者が強者であり続ける、資本主義の現実がそこにあります。
私たちにできることは、とにもかくにも、支出を減らし収入を増やし、運用額をなるべく早く大きくすることに尽きます。それが将来のパフォーマンスに多大な影響を及ぼします。
■複利効果のまとめ
複利効果は資産形成をサポートしますが、投資の本質は「種銭の多いものが勝つ」です。
なるべく早く、なるべく多く種銭を準備することが資産形成を成功させる秘訣です。
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